債務不履行の基礎知識
「債務」とは、契約に基づき取引相手に対して金銭を支払ったり商品を引き渡したりする義務を指します。「債務不履行」とは、この義務を果たさないことを意味します。債務不履行には、履行遅滞、履行不能、不完全履行の3つの種類があります。
まず、履行遅滞は債務を履行することができたはずなのに約束の期日に遅れることを指します。たとえば、代金の支払いが期日を過ぎても行われない場合がこれに当たります。
次に、履行不能は債務を履行することが不可能になった場合を指します。たとえば、住宅を建てて販売契約を結んだ後に火事で家が消失し引き渡せなくなった場合です。ただし、金銭債務については履行不能とはみなされません。
不完全履行は、債務の一部のみが履行された場合を指します。たとえば、納品された商品の一部が破損していたり、調査レポートが不完全であったりする場合です。
債務不履行が発生した場合、債権者は契約解除、損害賠償の請求、強制執行といった対応を取ることができます。契約解除は、債務不履行が発生した場合に契約を解除することです。損害賠償の請求は、契約違反や不法行為によって受けた損害を補填するために請求を行うことです。強制執行は、訴訟で勝訴した後も債務者が履行しない場合に国の力を借りて債権を回収する方法です。
債務不履行に直面した際には、まずは話し合いで解決を図り、それでも解決できない場合は法的手段を検討しましょう。